こんにちは。ししゃもです。
本屋で最初の1ページ目を読んだ瞬間に購入を決意し、それ以来いつ読もうかとタイミングを図っていた本があります。
千葉雅也「勉強の哲学」。
なぜ勉強をするのか?何が得られるのか?今が楽しければ勉強なんてしなくてもよいのではないか?という問に答えるヒントとなる本です。
千葉雅也さんは哲学者ですが、何の知識がない人も読みやすい素晴らしい本でした。
人は勉強しなくても生きていくことができる
のっけから本のテーマと真逆ですが、人は勉強しなくても面白おかしく生きていくことはできます。
なぜこんな断り書きがあるのか?
この本の中では、「勉強しないで生きる」ということは 周りに流されて生きるという事だと言っています。
自分が所属している環境の暗黙の了解に合わせて行動を取れば、ノリよく楽しく生きていくことができるのです。
この暗黙の了解のことをこの本では「コード」と言っています。
そして、勉強するということはそのノリ(=コード)に一時的にうまく乗れなくなることを意味します。
このコードはなぜ存在しているのか?なんのために?ということを学び、知ってしまうことで、一時的に無邪気にノれなくなるのです。
「コード」に支配されていることに気づけ
では何のために勉強するのか?それはコードが環境にはあるのか?ということを知ることで自由になるためです。
何も知らず、コードに従うままでは、たとえ環境を変えても異なるコードに縛られてしまうのです。
今の職場が嫌だから転職した(=従うコードを変えた)が、次の職場も結局嫌なところが多い(新たなコードに従う羽目に)
というふうに。
では自由になるためにはどうすればいいのでしょうか?
コードが存在していることを自覚し、1段階上の次元で考える
つまり、所属しているコードは変えられないが、自分の中で従うコードを選べるようにするということです。
そしてそのためにはコードを超えた思考を行うことが必要です。
どうすればいいのでしょうか?
まずはアイロニー、そしてユーモアへ移行する
まずはアイロニーから始まります。
現在従っている考え方(=コード)を疑うということです。
なぜ〇〇という常識があるのか?というふうになぜ?と疑問を深めていきます。
これがアイロニー型の考え方です。
しかし、アイロニー型の考え方ではいずれ「この世の絶対の真理とはなにか?」という疑問に行きつきます。
著者の立場としては、「この世の絶対の真理」というのは存在しません。
つまり、アイロニー型の思考ではここで存在しない答えを探し続けるハメになるのです。
ここで次のユーモア型の思考が役立ちます。
ユーモア型は現在のコードに対して違うコードを持ち込み、現在のルールを揺さぶります。
例えば高校野球の話をしていて、「高校球児は爽やかでいいよね」という流れになっていたとします。
そこで急に「高校野球といえば、昔は台湾代表も甲子園に出てたよね。日本統治時代に」という話題を持ち込みます。
こうすることで「球児は爽やか」というコードから「台湾と日本の関係」というコードへの移行が行われました。
違うコードへの移行を行えることで、今従っているコードから自由になるというわけです。
ユーモア型の思考も万能ではない
ユーモア型の思考は一見素晴らしいものに思えますが、これも極限まで突き詰めるとナンセンスなものとなってしまいます。
どんなコードへの移行も解釈次第でできるようになってしまうので、コード自体が無意味になってしまうのです。
こじつけで話を変えると言うことですね。
だからこそ、「途中」で自分の好きなところでコードの転回を止める必要があるのです。
これが「有限化」です。
アイロニー型も、ユーモア型も、無限に突き詰めるとナンセンス、無意味になってしまいます。
それをあえて有限で止める。
この有限化を重要だと言いたいのです。
有限化には自分の個性が出る
どのレベルで有限化をするか?という基準は「自分の好み」です。
ここまできて自分の好み?と思うことでしょう。
しかし、コードに従うでもなく、際限なく疑問を呈すでもなく、自分の意志で「有限」の選択をする。
その選択をできるようになることが勉強の意味なのです。
この「自分の好み」というのはランダムに出会ってきた出来事や人によって形付けられ、それをどう解釈するかで変わってきます。
自分の解釈で感じ方を選べるようになる。勉強をすることでこのレベルまで達することができるのです。
でも、勉強をしてコードを選んだ「来るべきバカ」とただコードに流されるだけの「バカ」は見分けがつかない
勉強をすることによって従うコードを自覚的に選べるようになりましたが、外から見ると単に何も考えずにコードに従う人とは見分けが付きません。
これが「来るべきバカ」になれたということです。
あなたはただのバカですか?それとも自覚してコードを選んでいる「来るべきバカ」ですか?
こちらは投資本ですが、純粋な読み物としても面白いです。